過払い金の無料調査・無料診断は本当に安全?
過払い金の無料調査・無料診断とは?
消費者金融やカードキャッシングの過払い金。
テレビやラジオでは多くのCMが流れています。
以前は、過払い金の「相談」を呼び掛けるCMがほとんどでしたが、最近は、過払い金の「無料調査」や「無料診断」を呼び掛けるCMが多くなりました。
「お電話5分で無料診断」とか「郵送のみで調査できます」などというCMを見たり聞いたりしたことがある方も多いかもしれません。
そもそも過払い金の無料調査って何?
この過払い金の「無料調査」は、▼貸金業者に対して取引の内容が記録された「取引履歴」を開示させて、▼過払い金がいくら出ているかを利息制限法に基づいて計算するものです。
本来ならば、過払い金請求の正式な依頼を受けてから行うプロセスの一つです。
ところが、全国チェーンの大量処理型事務所が、お客さんを集める集客目的で手掛けるようになりました。
「電話一本でできるなら」とか「郵送だけで済むならば」と、気軽に利用できるというメリットもあるかもしれません。
でも、過払い金の無料調査や無料診断には、それ以上に、大きな問題・デメリットもあります。
こちらの記事では、過払い金の無料調査や無料診断のデメリットについてまとめておきます。
無料で行った調査結果は信頼できますか?
この過払い金の無料調査、全国チェーンの大量処理型事務所が、大々的に宣伝を行っていますが、その無料調査や無料診断の結果の信用性・信頼性を、みなさん考えたことはあるでしょうか?
そもそも過払い金は、ただ計算すれば良いというものではありません。給付金みたいに申請すれば現金が自動的に払われるわけではありません。「現金が戻ってくる」などという生易しいものではありません。
実際には、過払い金の返還請求には、数多くの争点があります。「取引の分断」や「貸付停止に伴う時効の進行」、「過払い金と債権譲渡」や「期限の利益喪失と遅延損害金」などたくさんの争点があるのです。
過払い金請求にはこうしたたくさんの争点があります。
そして、それぞれの争点には、借主であった利用者側の主張と、貸主であった貸金業者側の主張があります(だからこそ「争点」になっているわけです)。
相手方貸金業者の主張に基づいた計算結果が伝えられる危険性も!
このように、過払い金請求には、様々な争点があります。
そして、貸金業者の中には、自分たちの主張を前提として「取引履歴」を作成する業者もあります。
例えば、取引が前半と後半とに分かれるか争われるような「取引の分断」がある場合、貸金業者側は、あえて前半と後半に分けて取引履歴を作成するのです。
過払金請求の経験豊富な弁護士であれば、こうした貸金業者側の主張を無視して、取引を前半と後半に分けずに、一連の取引として計算し、相手方に請求します。
ところが、過払い金請求に詳しくない専門家に任せてしまうと、相手方業者の主張をそのまま受け入れて、取引が前半と後半とに分かれることを前提とした計算・請求が行われてしまうリスクがあるのです。
無料調査事務所の担当者に注意!
こうした過払い金の無料調査。
そもそもみなさんの調査を担当するのは、どのような方でしょうか?
単なる電話オペレーターの方から結果を聞いたりしていませんか?
そのオペレーターの方は、過払い金の争点についてきちんと理解しているのでしょうか?
弁護士資格をお持ちなのでしょうか?
過払い金を実際に請求した場合に、相手方業者がどのような対応をしてくるかわかるのでしょうか?
そもそも過払い金の返還交渉をしたことがあるのでしょうか?
このように過払い金の計算と一言で言っても、過払い金の争点についての理解や経験が無いと、具体的にいくらの過払い金が出ているのか、争点はどこら辺にあるのか、過払い金の回収見込みがあるのかなどについて、アドバイスすることができないはずです。
ところが、全国からお客さんを集めるような無料調査事務所では、弁護士や司法書士の資格のない素人が過払い金の計算をして計算結果を伝えたり、弁護士になったばかりの経験のない人間が依頼者に説明したりするなど、本当に危ない進め方をしている所もあるようです。
このように、全国チェーンの大量処理型事務所が行っている「無料診断」や「無料調査」は、そもそもその信用性に疑問があります。
実際に過払い金返還請求の裁判をしたり交渉をしたりしていない方が行う「診断」や「調査」は、お医者さんではない人が行う診断と同じで、全く的外れのことが多いようです。
過払い金の無料調査や無料診断は、そもそも誰が調査・診断を行っているのか、その調査や診断結果がきちんと正確なものなのかという点で、大きな疑問があるということはちゃんと覚えておいてほしいと思います。
「無料」とか「電話一本」とか「フリーダイヤル」などという宣伝文句に、ついつい釣られそうになりますが、安かろう悪かろうというようなサービスに引っかかってしまわないようくれぐれもご注意ください。
無料調査と交渉・裁判は別物です!
これまで過払い金を請求した経験のない方は、過払い金の無料調査や無料診断を行えば、その結果として聞いた金額が、現金として戻ってくると思われるかもしれません。
ところが、過払い金返還請求は、立派な法律上の手続きです。
給付金のように、請求すれば自動的に振り込まれるものではありません。
過払い金の返還請求手続きには、交渉や裁判など、多くの経験や実績が必要になります。
お電話一本で無料診断してくれるような事務所が、実際の回収手続きでどれだけ実績を上げているか、考えていることはあるでしょうか?
たとえば、計算上、過払い金の元金が100万円あり、これに過払い利息が20万円ついて、請求総額が120万円の場合を想定しましょう。
請求総額120万円をきっちり回収しようとする事務所もあれば、利息は諦めて元金100万円だけを回収しようとする事務所もあれば、元金100万円の半額だけを回収しようとする事務所もあります。
あなたが気軽に無料診断をお願いしようとする事務所は、どのような回収方針で過払い金返還請求に取り組んでいるか、考えたことはありますでしょうか?
そもそも過払い金をきちんと回収できないような事務所の場合、裁判を起こすだけで多額の費用がかかったり、期間などの見通しも的外れだったりします。
繰り返しになりますが、過払い金の調査と返還手続きは別の手続きです。
無料調査や無料診断などという無駄なステップを踏むのではなく、最初から過払い金請求に強い事務所に相談・依頼するようにしてください。
司法書士の場合は「二度手間」の危険あり!
これまでご説明のとおり、過払い金の無料調査・無料診断と、実際の過払い金の返還請求手続きは、あくまでも別の手続きです。どこかの事務所に無料調査をお願いしても、過払い金が戻ってくるわけではありません。
司法書士の金額制限に注意!
特に、司法書士法人の場合は、注意が必要です。
司法書士(法務大臣認定司法書士)の場合、「過払い金の金額制限」があります。
司法書士(法務大臣認定司法書士)は、過払い金の金額が140万円を超えると、過払い金の返還交渉も出来ませんし、過払い金の裁判を起こすこともできません。
司法書士法人の調査で過払い金140万円超えるとどうなる?
仮に過払い金が発生していた場合も、過払い金の金額が140万円を超える場合、司法書士法人では対応できませんので、新たに弁護士を探す必要があります。
そして、新たな弁護士に依頼した場合は、また取引の記録を取り寄せるところから始まります。新たに依頼を受けた弁護士が、過払い金の調査をもう一度しないといけないのです。
取引履歴の取り寄せは、長い会社だと取引履歴の開示まで3か月ほどかかります。最初の調査で3か月、再度の依頼後にまた3か月、取引履歴が開示されて、実際の請求手続きに着手するまで、大変な時間がかかってしまうのです。
司法書士の紹介する弁護士で大丈夫?
過払い金無料調査を手掛けているような東京や大阪の司法書士法人は、調査の結果、過払い金が140万円を超えていることが判明すると、「弁護を紹介できます」などといって、提携している弁護士を紹介しようとします。
でも、会ったことの無い東京や大阪の弁護士に、大切な過払い金請求を任せられるでしょうか?
無料調査事務所の「つまみ食い」に注意!
過払い金の無料調査というのは、相手方貸金業者から取引履歴を取寄せて、利息制限法の制限金利で計算する作業のことです。
無料調査をする事務所からすれば、調査を依頼してきた人が、どの会社でいくらの過払い金が出ているのか、そして、争点はあるのかどうなのかという重大な個人情報を得ることができます。
無料調査を行っている事務所は、大量の案件を大量に処理する大量処理型事務所がほとんどです。
こうした事務所は、無料調査を通じて、過払い金の金額や争点の有無などの個人情報を手に入れます。そして、無料調査事務所の中には、「案件の選別」を行うような所もあるようです。
案件の一部だけを受任する「過払い金のつまみ食い」
「無料で計算までしてくれるなんて」。
こんな純粋なお客さん側の思いとは違って、無料調査を行う事務所側には「個人情報を得て、案件を選別する」という目的があります。
過払い金の回収に争点が無い件は、そのまま請求手続きの依頼を働きかけます。
一方で、過払い金に争点があることが判明すると、無料調査事務所は、そのまま依頼を受けることを嫌がります。過払い金に争点があると、裁判を起こす必要があります。ところが、こうした無料調査事務所は、大量の案件を処理することが目的なため、裁判を起こしたがらないのです。
このため、無料調査事務所は、過払い金に争点があると、「地元の弁護士に相談してください」などと言って、実際の請求手続きの受任を拒否しています。
また、過払い金が140万円を超えている場合も、争点がある件だと、提携弁護士を紹介せずに、「地元の弁護士に相談してください」などと言って受任を拒否しています。
簡単に言うと、「面倒くさい案件は受任したくない」ということのようです。
実際に、当事務所にも、こうやって受任を拒否された方々からのご相談・ご依頼が後を絶ちません。
このように、過払い金の無料調査・無料診断は、「大量処理型事務所が案件を選別する手段」となっているようです。
過払い金無料調査・無料診断を終えた方へ
過払い金の無料調査・無料診断を依頼しても、その後の実際の過払い金請求手続きをその調査事務所に依頼する必要は全くありません。
特に、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明した場合、調査を依頼した事務所が司法書士法人だと、そのまま請求手続きを依頼する事はできません。
その事務所が提携弁護士を紹介してきたとしても、会ったこともない弁護士に依頼する必要など全くありません。
そして、過払い金が140万円を超えていなかった場合も、調査の事務所に依頼する必要はありません。
過払い金は、依頼する事務所によって、戻ってくる金額が大きく異なる分野です。
過払い金の無料調査や無料診断が得意な事務所が、実際の請求手続きに強いとは限りません。
過払い金はあなたの大切なお金です。
依頼する事務所は、過払い金に強い事務所をきちんと選びましょう。
最初から過払い金請求手続きを正式に依頼するのがおススメです。
以上みてきたとおり、過払い金の無料調査や無料診断は、結果に信用性がなく、実際の請求手続きは別の手続きになるため時間がかかってしまうというデメリットがあります。
これまで、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所にも、他の事務所で無料調査や無料診断をしてもらったが、今一つ信用できなかったという理由で、改めて、当事務所に返還請求手続きをご依頼頂く方が大変多くいらっしゃいました。
「電話一本」とか「郵送で」とか、一見簡単そうに見える手続きですが、調査の信用性や時間という点からも「落とし穴」があることをきちんとご理解いただければと思います。
そもそも、過払い金の無料調査は、本来の過払い金請求手続きの中で、取引履歴の取り寄せ及び計算という部分だけを取り出して行うことに無理があります。
実際の返還請求手続きを視野に入れない調査や診断などは、全く意味がないのです。
このため、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所では、過払い金の無料調査や無料診断は一切行っていません。
きちんと過払い金返還請求手続きをご依頼頂いた方については、取引履歴の取り寄せから計算、その後の裁判や交渉までしっかり行います。
一方で、集客目的の無料調査や無料診断は一切行わない方針を堅持しています。
もし、ご相談時に、過払い金が発生しているかどうかの目安を知りたいとか、ご相談後にできるだけ早めに計算結果を知りたいという方は、集客目的で調査や診断を行っているような事務所に頼む必要はありません。
ご自身の取引の記録については、ご自身で相手方の消費者金融やカード会社から取り寄せることができます。
具体的な取り寄せ方法については、以下のページをご参照ください。
⇒ 取引履歴の取寄せ
過払い金はどこに頼んでも同じではありません!
過払い金の請求手続きは、どこに頼んでも同じではありません。
依頼する弁護士によって、回収できる過払い金の金額も回収までの期間も大きく異なる分野です。
このため、「無料調査」や「無料診断」を行っているからなどという安易な理由で、過払い金の返還請求手続きを依頼する事務所を選んでしまうと、あなたの過払い金をしっかり取り戻すことができなくなってしまうリスクがあるのです。
名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所では、10年以上にわたって過払い金請求に一貫して取り組む所長弁護士が全ての案件を担当するのが特徴です。
東海地方にお住いの方で、過払い金をしっかり取り戻したいという方は、安易に無料調査や無料診断を行わずに、最初から当事務所までご相談頂くのが圧倒的にお勧めです。