消費者金融やカードキャッシングの過払い金。
「自分も該当するのかな」とインターネットで色々検索されている方も多いかと思います。
そうしたインターネット上のサイトの中には、きちんと正しい情報が書かれているサイトもありますが、中には、弁護士から見ると、完全に誤ったウソの情報が書かれていることもあります。
今回は、インターネット上にあふれる過払い金についての誤ったウソ、デマ、噂、ガセ情報について、弁護士が、正しいところを詳しく解説します。
ウソ1:2020年が過払い金請求のラストイヤー?
最近よく見かけるのが、このウソです。
ネット上だけでなく、テレビなどでも過払い金請求に詳しくない弁護士が、「2020年が過払い金のラストイヤー」などと言ってしまっているので、誤解をされている方も多いかもしれません。
このウソは、「▼過払い金の期限は10年→▼2010年に法律の改正→▼2020年に全ての方の過払い金が期限切れ」というもっともらしい論理に基づいています。
でも、実際には、この論理はつながらないのです。
確かに、2010年に改正貸金業法が完全施行されて、その後は、利息制限法を超える「グレーゾーン金利」での契約はできなくなりました。
しかし、過払い金の時効は、最高裁の判決で、最終取引日から10年で時効にかかると判断されました。時効の起算点は、貸金業法の改正時期ではなく、最終取引日から10年で時効であると判断されたのです。
このため、2010年に法律の改正があったから、2020年に過払い金が全て時効になるというわけではありません。
ご自身の取引が終わったときから10年で過払い金は時効になるということです。
つまり、過払い金に時効と、2010年の改正貸金業の完全施行は関係ないのです。
過払い金の時効は取引が終了してから10年であり、法律が改正されてから10年ではありません!
たとえ2010年に貸金業法が改正されていても、2020年で過払い金が全て時効にかかってしまうわけではありません!
例えば、2001年からの取引を2018年に完済した場合、2028年までは過払い金は時効にかかりません。
過払い金の期限は、あくまでも最終取引日から10年ですので、これと法律の改正には何らの関係もないのです。
また、現在も返済中の方も同じです。
例えば1996年からアコムと取引を始めて、現在も100万円の債務を返済中の方の場合。
1996年の借入れ当時の利率が年27.375%などと利息制限法の上限金利を超えた、いわゆる「グレーゾーン金利」で借りていた可能性が非常に高く、適法な利率で計算をし直すと、現在の債務が全て消えた上で、過払い金が発生している可能性があります。
上記のとおり、過払い金の時効と、2010年の改正貸金業法の完全施行は、全く関係がありません。
取引が継続している以上は、原則として、2020年を過ぎても、過払い金を請求できることになります。
もう一度繰り返しますが、2020年で全ての過払い金が期限切れになるわけではありません。
2020年が過払い金のラストイヤーではありません。
以下のページにまとめてありますので、くれぐれもこうしたガセ情報・ウソ情報に騙されないようにお気を付けください。
⇒ 過払い金とは?
⇒ 過払い金の時効
ウソ2:過払い金請求をすると、ブラックリストに載って、カードが持てなくなる?
このウソは、以前からよく見かけます。
「過払い金請求したら、ブラックリストに載って、カードが全部止まる」とか「過払い金請求したら、一生ローンを組めなくなる」とか、どうしてそのような誤った情報が流れているのだろうと疑問に思うほど、インターネット上にはこうしたウソがあふれています。
まず、完済した会社への過払い金請求の場合、信用情報で事故扱いにする(いわゆる「ブラックリストに載る」)ことは、金融庁からの通達で禁止されています。
したがって、完済した会社への過払い金請求の場合は、ブラックリストに載ることはありません。持っているクレジットカードが全て使えなくなったり、ローンが組めなくなったりすることもありませんので、どうぞご安心ください。
次に、債務が残っている会社への過払い金請求の場合、利息制限法という法律に基づいて計算をし直して、債務が全部消えて、過払い金が発生していた場合には、上記の完済した会社と同じように、信用情報で事故が残り続けるということはありません。
一方で、適法な金利で計算しなおして、債務は減ったんだけど、残ってしまったという場合は、信用情報に影響が出る可能性があります。
現在も返済中だけど債務が残るようであれば弁護士には依頼したくないという方は、弁護士にご相談される前にご自身で取引履歴を取っておくと、相談後に計算のみを進めることで、債務が残るのか、それとも債務が全部消えて過払い金が発生しているのかについて、確認をしてから、ご依頼されるか否かを判断することが出来るので、オススメです。
過払い金請求とブラックリストとの関係については、以下のページにまとめてありますので、是非ご覧ください。
ウソ3:過払い金請求すると、家族や職場にバレる?
このウソもたくさん見かけますね。どうやってバレるんでしょうか?
確かに、弁護士に依頼せず、自分で過払い金を請求しようとした場合、相手方貸金業者とのやりとりを平日の日中に行う必要があり、また相手方業者からの書類がご自宅に郵送されてしまうため、ご家族に知られてしまうリスクがあります。
でも、弁護士に依頼して過払い金を請求する場合、相手方業者との交渉窓口は、弁護士事務所になります。このため、相手方業者から直接ご本人に連絡がはいることはありません。また、裁判を起こした場合も、裁判所からの連絡や書類の送達は、すべて弁護士事務所となります。このため、裁判所からご本人に直接連絡が入ることはありません。
弁護士事務所からご自宅への連絡についても、例えば、郵便物は個人名で送るとか、郵便物は一切送らないなどの対応ができます。
実際、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所では、これまでに、「ご家族に内緒で進めたい」というご希望の方から大変たくさんのご依頼をお受けして、実際にご家族に知られずに過払い金を取り戻してきた解決実績が多数あります。
また、過払い金請求をしても、ご家族のカードやローンに影響することはありません。同じカード会社を利用していても、家族カードでなく、それぞれの方とカード会社との契約であれば、例えば夫が過払い金請求しても、妻のカードに影響がでることはありません。
ましてや、職場に過払い金請求がバレることは一切ありません。弁護士にご依頼頂いた場合、相手方業者からの連絡は、すべて弁護士事務所に来ますので、職場に連絡が入ったりする心配もありません。
「ご家族に内緒にしたい」という理由から過払い金を請求せずに、時効にかかってしまうと、得するのは消費者金融やカード会社です。
ご家族に内緒で進めたいという方も、ぜひ名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所までご相談・ご依頼ください。
ウソ4:書類やカードが残っていないと、過払い金請求できない?
「過払い金を請求しようと思ったら、カードや書類が何も残っていない」。
そんな理由から、過払い金請求を諦めている方も多いのではないでしょうか?
借金の記憶はあまり良い記憶ではないので、返し終わったらカードや書類は処分したいですよね。
それでいいんです。
過払い金は、借りていた先の業者さえわかれば、カードや書類がなくても問題なく請求できます。
ご本人のお名前・生年月日・当時のご住所などの情報が合致すれば、相手方業者からきちんと取引履歴を開示してもらうことが出来ます。
ただ、過払い金は、原則として、完済から10年で時効となります。
また、取引の期間によっては、すでに利率が下がった後の取引のため、過払い金が発生しないことがあります。
「いつ借りて、いつ返したか、忘れてしまった」。
そんな方は、下記ページをご参考に、取引期間をご確認されてみる事をお勧めします。
ウソ5:旧姓での契約や旧住所での契約だと、過払い金請求できない?
「結婚前の旧姓での取引だったから、もう過払い金は請求できないのでは?」
「引っ越す前の住所での契約だったから、もうあきらめている」
そんな方、いらっしゃいませんか?
過払い金は、苗字や住所が変わったからと言って、請求できなくなるものではありません。
たとえ旧姓での取引であったとしても、旧住所での契約で、住所が変わっていても、全く問題なく過払い金を請求できます。
相手方の消費者金融やカード会社での登録が、旧姓や旧住所のままになっている方の場合は、ご相談・ご依頼の際に、当時の苗字や住所を教えて頂ければ大丈夫です。
その情報と相手方業者に登録が残っている情報が合致すれば、問題なく取引の記録を開示してもらえますし、過払い金があれば、過払い金の請求をすることもできます。
過払い金は、たとえ発生していても、相手方業者から教えてくれることは、原則としてありません。
みなさんの側から一歩踏み出して、過払い金の返還請求手続きを進めていく必要があります。
カードがないとか、旧姓や旧住所の契約だからなど、やらない理由を探し出すと、いくらでも見つかります。
でも、過払い金はそもそも法律上支払う必要がないお金です。
「面倒くさいから」という理由で返還請求を諦めてしまっては、消費者金融やカード会社を喜ばせるだけです。
消費者金融やカード会社は、法律に違反した金利を取っていたから、過払い金を請求されているのです。
法律に違反した相手に遠慮する必要はありませんので、ぜひ過払い金についてお心当たりのある方は、一歩踏み出して弁護士にご相談頂ければと思います。
過払い金についてのよくあるご質問とそのご回答については、下記ページにまとめてありますので、ご参考にしてください。
⇒ 過払い金Q&A
ウソ6:銀行・地銀・信金のカードローンでも過払い金が発生する?
これはここ数年急激に増加したウソ・勘違いです。
一部の司法書士法人が銀行系のカードローンでも過払い金が発生するなどという紛らわしい表現をつかっているため、銀行・地銀・信金のカードローンでも過払い金が発生すると勘違いしている方が非常に多いのです。
ただ、銀行・地銀・信金のカードローンは、貸金業法の適用がなく、過去に「グレーゾーン金利」という違法金利で貸していたことはありません。全て適法な金利での借り入れになりますので、法律上、過払い金は発生しないのです。
このため、銀行・地銀・信金のカードローンは、長年の取引があっても、過払い金が発生することはありません。
紛らわしい表現をして問い合わせを1件でも増やそうとする全国チェーンの広告に騙されないようにお気を付けください。
ウソ7:過払い金はどこに頼んでも同じ?
そんなことはありません。
依頼する専門家によって、戻ってくる過払い金の金額も戻ってくるまでのスピードも大きく異なります。
まず、そもそも司法書士は、交渉や裁判の専門家ではありません。登記の専門家です。金額が小さい件について、限定的に交渉や裁判の権限が認められているに過ぎません(法務大臣認定司法書士)。
司法書士の場合、過払い金の金額に上限140万円の制限があります。一方で、弁護士には、過払い金の金額に制限はありません。司法書士は、140万円を超える過払い金の件について、裁判を起こすこともできませんし、相手方業者と交渉することもできません。
また、司法書士は、過払い金の裁判が最初の裁判所で決着がつかず、控訴審まで裁判が長引いた場合、控訴審の裁判所にご本人の代理人として出廷することはできません。このため、「140万円未満だからいいか」と司法書士にご依頼をされた場合、もし控訴審まで進むとご本人が出廷しなければいけなくなります。
相手方業者も司法書士が控訴審では何もできないことを知っていますので、「控訴審まで長引いたら困るでしょ」と足下を見ながら、強気の交渉を進めてきます。これでは、ご本人にとって、弁護士ではなく敢えて司法書士に依頼するメリットはないですよね。
特に、取引期間の長かった方や借入金額の多かった方は、最初から弁護士にご依頼された方が圧倒的に安心です。
⇒ 司法書士に頼んで過払い金が140万円を超えてしまったらどうなる?
また、同じ弁護士でも、全国チェーンの大量処理型事務所に依頼するのと、過払い金請求に力を入れる個人事務所に依頼するのと、過払い金請求を現在はあまりやっていない事務所に依頼するのとでは、大きく異なります。
まず、過払い金請求を現在はあまりやっていない事務所に依頼してしまうと、弁護士が最新の論点に詳しくないため、相手方業者の言いなりで話が進んでしまう恐れがあります。ホームページで5年以上も前の「解決実績」を誇らしげに書いてあるようなところは注意が必要ですね。最近は過払い金請求の依頼を受けられていない事務所かもしれません。
次に、全国チェーンの大量処理型事務所に依頼する場合、面談した弁護士と実際の請求手続きを進める弁護士とが別々のケースが多く、依頼後に連絡を取ろうとしても、なかなか連絡が取れないなど不満がたまってしまうケースが多いようです。
一方で、現在も過払い金請求に力を入れる個人事務所の場合、実際に相談に対応した弁護士と請求手続きを進める弁護士は同じ弁護士ですので、依頼後のやり取りもスムーズに進みます。
全国チェーン型の事務所の方が知名度は圧倒的にあるので、なんとなく全国チェーン型の事務所に相談・依頼しようと思いがちですが、あなたの過払い金請求手続きを進める上で、全国各地に支店がある必要もなければ、数百人の弁護士がいる必要もありませんよね。
弁護士業界の場合、事務所の知名度があるからと言って、過払い金をしっかりと取り戻せることができるとは限りませんので、くれぐれもご注意ください。
どの事務所が過払い金請求に本当に強いのかという点から、事務所選びを進めてみるのがおススメです。
ウソ8:過払い金の費用・手数料は司法書士の方が弁護士より安い?
「弁護士は費用が高い」とか「司法書士の方が何となく親しみやすい」いうイメージからこんなことをお考えになる方も多いようです。
実際は、弁護士も司法書士も、費用は一定の上限のもとで、自由化されているので、一律に弁護士の方が高いとか、一律に司法書士の方が安いとかいうことはありません。
むしろ全国チェーンの司法書士法人などでは、費用が非常に高いところも多いのが現状です。
過払い金の費用・手数料は司法書士の方が必ず安いというわけではありません。
「過払い金請求なんてどこに頼んでも同じ」という誤った情報から、ついつい「1円でも費用が安い方が良い」と考えがちです。
しかし、一番大事なのは、「どれだけ過払い金を取り戻せるか」という点です。
過払い金請求の件をあまり手掛けていないような事務所やベルトコンベア式の大量処理では、過払い金をしっかり取り戻せることができませんので、いくら費用が他の事務所より安くても、ご本人様のお手元に戻る金額は小さくなってしまいます。
上記のとおり、過払い金は、依頼する弁護士・司法書士によっては、戻ってくる金額も戻ってくるまでの期間も、大きく異なります。
繰り返しになりますが、大事なのは、報酬割合が1%安いか否かではななく、過払い金をどれだけ取り戻せるかという点です。
その意味で、やはり過払い金請求に強い事務所にご依頼されるのがおススメです。
ウソ9:過払い金の裁判は絶対に負けない?
これも、本当によくネットで見かけるウソです。
「過払い金は裁判を起こせば負けることはない」とか書かれていることありますが、こうした方は、裁判を起こしたことがあるのでしょうか?
掲示板などで素人の方が書いているのはもちろん、中には、過払い金請求の経験がほとんどないような弁護士が、もっともらしくこうしたウソを書いているケースもあるようです。
実際のところ、過払い金返還請求訴訟には、たくさんの論点があります。
一度取引が終了してブランクが空いている場合に過払い金の充当合意が認められるかという「取引の分断の争点」、本人が貸金業者と返済途中に利息をストップしてもらうなどの合意をした後の過払い金請求が認められるかという「和解済みの争点」、リボ払いと異なり1回払いの場合に過払い金の充当合意が認められるかという「1回払いの争点」、取引の途中で信用状況の悪化などにより新たな貸付が停止された場合、時効の起算点をいつと考えるかという「貸付停止の争点」、返済に遅れがあった場合に利息制限法の遅延損害金率で計算すべきなのかという「期限の利益喪失の争点」などなど本当にたくさんの争点があります。
そして、過払い金の争点は、年々増え続けています。
10年くらい前は争点にならなかったような点が、貸金業者側が争点として持ち出し、裁判所での判決でも、貸金業者側の主張が認められるようになった争点もたくさんあります。
貸金業者側としては、過払い金を1円でも払いたくないので、争ってくるのは当然ですよね。
「過払い金の裁判は絶対に負けることがない」とかウソを書き込んでいる人は、こうした争点のことを知っているのでしょうか?
おそらく知らないと思います。
このように、過払い金請求には、実はたくさんの争点があります。
過払い金の裁判は絶対に敗訴しないというのは、完全なるウソですので、くれぐれもネット上のウソに騙されないようにお気をつけください。
⇒ 過払い金の裁判
過払い金にまつわるウソ・まとめ
以上のように、過払い金請求については、いろんなウソ・デマ・ガセ情報が、ネット上にあふれています。
特に、掲示板やQ&Aサイトなどでは、素人の方が、もっともらしく過払い金のウソをついて、請求を諦めさせようとしているケースが数多くあります。
貸金業者側が、ネットのライターを雇って、こうした過払い金のウソを書きまくっているのではないかと少し心配になります。
名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所は、過払い金について誤った知識から、請求手続きを諦めたり止めてしまう方が一人でも減るように願っています。
過払い金については、下記サイトに、弁護士がきちんとまとめています。
まずは正しい情報を知って頂き、過払い金に該当している方は、お早目にご相談にお越し頂ければと思います。