過払い金・無料調査や無料診断は「遠回り」の始まり
CMでお馴染みの「過払い金無料調査」に注意！
消費者金融やカードキャッシングの過払い金。
テレビやラジオ、ネットなどでは、この「過払い金」に関するCM・広告が、非常に多いですよね。
その中でも、「過払い金を無料で調査」とか「いくら現金が戻ってくるか過払い金の無料診断」などという、過払い金の無料調査や無料診断を呼びかける広告が圧倒的に多くなっています。
ところが、この過払い金の無料調査や無料診断。良いことだけでなく、欠点やデメリットもたくさんあります。
「電話一本で済むから」などと安易に無料調査や無料診断をお願いする前に、きちんと欠点やデメリットも知っておいた方が良さそうですね。
過払い金の無料調査や無料診断は、単なる「集客手段」
そもそも過払い金の無料調査や無料診断は、なぜ行われているのでしょうか？
弁護士法人や司法書士法人が、社会貢献として、ボランティアでやっているのでしょうか？
そんなはずはありませんよね。そもそもボランティアなら、多大な費用を出して、テレビやラジオ、ネットなどでCMを流したりしないですよね。
過払い金の無料調査や無料診断は、立派なビジネスです。
もちろん調査や診断だけでは、売上につながりません。
でも、弁護士法人や司法書士法人は、調査によって、過払い金がどれくらい出ているかという情報をゲットできます。
そして、そのまま、実際の過払い金請求の手続きの依頼を働きかけるための、個人情報もゲットできます。
そうです。過払い金の無料調査や無料診断は、お客さんを集める、「集客手段」として、行われているのです。
調査が得意な事務所は過払い金の回収に強いのでしょうか？
「CMをたくさんやっているから大丈夫」。本当でしょうか？
過払い金の無料調査を終えた方。そのままその事務所に、過払い金の請求手続きを依頼しようとしていませんか？
過払い金の無料調査や無料診断を手掛けているような事務所が、実際の過払い金請求の手続きに強いとは限りません。
むしろ、たくさんの案件を手掛けているため、1件1件の過払い金の交渉や裁判に、十分な手間をかけられないかもしれません。
テレビやラジオの過払い金のCMなどでは、「現金が戻ってくる」とか「現金が支払われる」などと言う表現が使われていることもあるようです。
しかし、過払い金の請求は、そんな生易しいものではありません。
過払い金の請求には、大小さまざまな争点が、数多くあります。
相手方の消費者金融やカード会社は、支払う過払い金を1円でも減らそうと、必死に争ってきます。消費者金融やカード会社が、代理人弁護士を立てて来るケースも多くあります。
「請求したら、そのまま現金が振り込まれた」などという夢物語は、過払い金の分野ではありえません。
だからこそ、実際の過払い金請求手続きを依頼する先の「事務所選び」がとても大事になるのです。
無料調査事務所の「つまみ食い」に注意！
過払い金の無料調査を終えた後、調査をした司法書士法人や弁護士法人は、当然のことながら、「このまま請求手続きを進めますか？」と、過払い金の請求手続きの依頼を持ち掛けてきます。
ここで、注意が必要です。
過払い金の無料調査を手掛ける事務所の中には、案件を選り好みして、「つまみ食い」する事務所があるようです。
過払い金の争点がない案件については、自分の事務所もしくは提携している弁護士事務所で囲い込みます。
一方で、過払い金の争点がある案件や過払い金の回収に手間がかかる会社については、「地元の弁護士を探してください」と言ってきて、依頼を断るのです。
このような過払い金無料調査後の「つまみ食い」がこのところ大変多くなっています。
こんな「つまみ食い」をされるくらいなら、調査を終えた後、実際の過払い金請求手続きは、地元の弁護士に全て依頼した方が圧倒的にスムーズです。
過払い金無料調査事務所の「つまみ食い」にはくれぐれもご注意ください。
過払い金の「検索汚染」「サジェスト汚染」に注意！
インターネットで調べものをするときには、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使われる方が多いですよね。
検索窓に、「過払い金」などのワードを入力すると、予測検索候補なども出て来て、非常に便利ですよね。
ところが、この予測検索候補が出てくる仕組みを悪用する動きが、過払い金の分野でもあるようです（特にYahoo!）。
過払い金の語句を入力すると、特定の事務所の事務所名やサイト名が候補として表示されてしまうのです。
このように、本来は、ユーザーの利便性を高めるために予測検索候補を表示するサジェスト機能を悪用して、広告として利用する行為を、「検索汚染」「サジェスト汚染」と言います。
おそらく特定の事務所の担当者や協力業者が、このような汚染行為をしているのだと思われます。
「検索候補で出てきたから」などという理由で選ぶ事務所、本当に大丈夫ですか？
広告や宣伝だけに力を入れて、実際の過払い金請求の裁判に強い事務所ですか？
安易に無料調査を依頼する前に、くれぐれもご注意ください。
司法書士の金額制限で「遠回り」
過払い金の無料調査や無料診断を手掛けている事務所のうち、テレビやラジオ、ネットなどで広告を大量に流している事務所は、司法書士法人が圧倒的に多いです。
ところが、この司法書士。弁護士と同じように過払い金を請求できると思ったら、大間違いです。「肩書き」だけの違いではなく、法律的な権限が大きく違うので、注意が必要です。
司法書士には140万円の金額制限
まず、司法書士には、過払い金の金額制限があります。
過払い金の金額が140万円を超える場合、司法書士は、過払い金の交渉や裁判など一切手掛けることができません。
本人の代わりに、相手方の貸金業者に、請求書を出すことも、できません。
本人の代わりに、過払い金の返還交渉をすることも、できません。
本人の代わりに、過払い金の裁判を起こすことも、できません。
過払い金の金額が140万円を超えると、本人の代理人として何もできなくなるのが司法書士（法務大臣認定司法書士）なのです。
もし司法書士に調査を依頼して、過払い金が140万円を超えると、その司法書士とは別の弁護士を探さないといけません。
「弁護士を紹介しますよ」とその調査事務所に言われても、どんな弁護士かわかりませんよね。数百万もあるかもしれない大事な過払い金請求を会ったこともない遠方の弁護士になんて任せられないですよね？
結局、司法書士法人に過払い金の無料調査なんかを依頼するから、こうやって「遠回り」が生じるのです。みなさんそろそろ気づきませんか？
司法書士は控訴審対応不可
過払い金が140万円を超えていないからと言って、安心はできません。
司法書士は、過払い金の裁判が、最初の裁判所で決着つかずに、控訴審まで長引くと、裁判上の代理権が認められず、裁判に出廷できなくなるのです。
「控訴審まで行かないと思う」。そんな根拠のない楽観論は危険です。
相手方業者は、司法書士が代理人としてついている場合、当然、この弱点を突いてきます。司法書士も、控訴審まで代理人をできないので、弱気になって、和解を勧めてくるかもしれません。
裁判は、お金をかけた戦いです。甘く見ないようにお気を付けください。
過払い金を司法書士に依頼する理由は何ですか？
弁護士に頼めば、140万円以上の案件も、控訴審も任せられるのに、あえて司法書士に依頼する理由は何でしょうか？
テレビで宣伝しているから？ネットで広告をよく見るから？
それは、過払い金をしっかり取り戻す能力とは、全く関係のない知名度ですよね？
司法書士の方が費用が安いから？
本当でしょうか？
弁護士より費用が高い司法書士の事務所なんていくらでもありますよ？
イメージで司法書士の方が安いと思い込んでいるだけではないでしょうか？
もういちど冷静になって、過払い金の依頼先を考えてください。
無料調査なんて依頼するから遠回りすることになるのです！
以上のポイントをまとめます。
- 過払い金無料調査や無料診断は、全国展開型の大量処理型事務所が、自分たちのお客さんを集める「集客手段」として行っている
- 無料調査や無料診断では過払い金は1円も戻ってこない
- むしろ、「過払い金のつまみ食い」の被害に遭う恐れがある
- 司法書士は140万円の壁や控訴審の壁があり、「全てお任せ」とはいかない。
このように、過払い金の無料調査は、調査をしている事務所にメリットがあっても、依頼する側には、何もメリットがない、無駄な手続きです。
CMやネットの広告につられて、過払い金の無料調査や無料診断を依頼してしまう前に、過払い金に強い地元の弁護士を探す方が、結局は、早く、簡単に過払い金の手続きが進むかもしれませんね。