消費者金融やカードキャッシングの払い過ぎの利息である過払い金。
最近、大量処理型事務所の間で流行しているのが、「過払い金の無料調査」や「過払い金の無料診断」です。
大量処理型事務所では、「無料で、郵送のみで、過払い金の無料調査を受付中。請求するかどうかは調査結果を見てからで大丈夫です」などという宣伝文句で、一人でも多くの人から受任をしようとしています。
このように、ハードルを下げて、無料調査や無料診断を呼び掛けて、そのまま過払い金請求の依頼につなげようとするやり方は、ビジネスでは、昔からあるやり方です。通販番組などでも、「無料お試しセット」とか「初回限定無料でお使いいただけます」などとやっているのを、TVCMなどでご覧になられた方も多いと思います。そのやり方を過払い金請求にそのまま応用したのが、上記の「過払い金無料調査」や「過払い金無料診断」です。
このため、こうした「過払い金の無料調査」や「過払い金の無料診断」というのが、みなさんの側のことを考えて始められたものではなく、売上を伸ばしたい、案件数を増やしたい大量処理型事務所側の自分たちの集客手段に過ぎないということがよくわかっていただけると思います。
こうした「過払い金の無料調査」や「過払い金の無料診断」。一見手軽で便利に思えますが、良くない点もたくさんあります。
特に、良くない点として挙げられるのが、「無駄に時間がかかってしまう」という点です。
最近、当事務所にご依頼を頂いた方のケースをご紹介します。
この方は、東京に本部のある司法書士法人に、過払い金の無料調査を依頼しました。
依頼してから3か月後に調査結果が出て、過払い金が300万円ほど出ているということでした。
ところが、この方が無料調査を依頼したのは、法務大臣認定司法書士。
法務大臣認定司法書士は、140万円を超える金額の過払い金請求を取り扱うことはできません。
このため、この司法書士法人からは、「司法書士ですので、140万円を超える案件は取り扱うことができません。他の弁護士を紹介します」などと言われてしまいました。
この司法書士法人が紹介するという弁護士は、名古屋の弁護士ではなく、東京の弁護士です。
こちらの地域に事務所などありませんので、その弁護士が名古屋に出張で来るまで、ただひたすら待たされることになってしまったのです。
この弁護士が本当に過払い金請求に強いのかどうかもその方はわかりません。
この弁護士が信頼できる弁護士かどうかもその方はわかりません。
この弁護士がしっかりと過払い金を回収するよう裁判を進めていくのか、それとも非常に低い割合での和解を勧めてくるのか、その方はわかりません。
このため、その方は、当事務所にご依頼されることになったのです。
この方がその旨この司法書士法人に伝えると、その司法書士法人は、「相手方業者から取り寄せた取引履歴をお渡しすることはできません」とこの方に告げて、あとは知らぬ存ぜぬです。
結局、当事務所から再び取引履歴を取り寄せる必要が出てきてしまうのです。
取引履歴の開示は請求してすぐに開示してもらえるものではありません。
開示請求をしてから通常は1か月くらい、長い業者だと2か月から3か月ほどかかります。
「過払い金の無料調査」などというよくわからない集客手段にのってしまったため、一度調査のために取引履歴の開示を待って、さらに、そのまま請求手続きをお願いできないことが判明したため、改めて、当事務所にご依頼されて、改めて、取引履歴の開示を待たないといけないのです。
この二重の手間って本当に無駄だと思いませんか?
名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所では、こちらのコラムでも繰り返しご案内しているとおり、過払い金の無料調査や無料診断は一切行っておりません。
「電話だけで済むから」とか「郵送でお願いできるなら」などと、軽い気持ちで過払い金の無料調査や無料診断をお願いしてしまうと、この方のように、思わぬ遠回りになってしまう可能性があります。
過払い金請求は、最初の事務所選びが大切です。
売上を伸ばしたり、回収実績を伸ばしたりすることだけが目的となっているような、過払い金の大量処理型事務所に依頼してしまうのではなく、あなたの過払い金をきちんと取り戻すよう力を尽くす事務所にご依頼されるよう、くれぐれもご注意ください。