過払い金請求とブラックリスト
「過払い金を請求すると、ブラックになるのでは?」
「クレジットカードを持てなくなるのは嫌だ!」
そんな思いから、過払い金請求を先延ばしにしている方、いらっしゃいませんか?
いわゆるブラックリストというのは、信用情報機関で、事故扱いになることを言います。
もともと、どこの会社からいつからいくら借りているかなどの情報は、貸金業者側が登録することになっていますので、たとえばアコムから平成12年10月15日から借りていて、現在50万円の債務が残っている場合はそうした情報が、信用情報機関に登録されています。
カードを作ったり、ローンを組んだりする際に、申込みをすると、審査があると思いますが、その際に、カード会社やローン会社は、この信用情報機関に問い合わせて、カードを作るか作らないか、ローンを組むか組めないかを判断するわけですね。
一方で、債務の返済に遅れがあったり、自己破産などをすると、信用情報機関に事故として登録され、いわゆるブラックリストに載るということになります。
支払が終了した会社への過払い金請求の場合
すでに借金を全額支払い終わっている会社への過払い金請求の場合、この信用情報機関で事故扱いになることはありません。
以前は、たとえ完済していた場合でも、過払い金請求をすると、貸金業者側が、「契約見直し」という形で事故登録をしていましたので、いわゆるブラックリストに載ってしまう運用がンされていました。
その後、平成22年に金融庁が、こうした過払い金請求を原因とした事故扱いは止めるよう通達を出して、現在は、完済している会社に対して過払い金請求をしても、ブラックリストに載ることはなくなりました。
債務が残っている会社の場合
一方で、まだ返済途中の会社の場合、カード会社でキャッシングは完済済みだけどショッピングでは債務が残っている会社の場合は、利息制限法に基づく計算の結果、債務の方が多く残った場合には、信用情報機関で事故登録されてしまいます。
事故登録された場合、新しくカードを作ったり、新しくローンを組んだりすることが難しくなったりする可能性が出てきますが、お金を借りるなど信用が問題になる場面以外では、日常生活に影響することはありません。
事故登録は、残った債務の支払い期間中と、支払い完了後最大5年間、信用情報機関に残ることになります。
ブラックリスト問題についてどう考えるべきか
上記のように、利息制限法の制限金利で計算をし直しても、債務が残ってしまう場合は、信用情報機関で事故扱い、いわゆるブラックリストに載る状態となります。
ただ、いくら事故になっていない場合でも、たとえばアコムから借金が50万円あるという状態であれば、その情報は、信用情報機関に事故でなくても登録されているため、カードやローンの審査の際には、カード会社やローン会社は信用情報機関に問い合わせて知ることができます。
特に住宅ローンを組む際には、たとえ事故扱いになっていなくても、アコムのような消費者金融から借入れがあるというだけで、審査が通らないケースもあるようです。
利息制限法の制限金利内の借入であれば仕方がありませんが、年20%以上の違法金利を取られていた時期から借入れがある方は、信用情報機関への影響を考えるよりも、まずは現在の債務の整理を考えたほうが、長い目で見ると良いことも多そうですね。
ブラックリストに載った場合は、新しいカードの申し込みやローンの申し込みの際の審査が通りにくくなる可能性があります(具体的にはカード会社やローン会社の判断となります)。
また、既にお持ちのカードが更新の時期になった場合、審査が通らずにカードの更新が出来なくなる可能性があります。
ただ、以上のように借り入れに関する場面でのみの影響にとどまりますので、日常生活には影響は出ません。
銀行口座が使えなくなることもございませんし、住民票に「×」などの印が入るわけでもありません。
現在利息のみを支払っていて、完済の見通しが立っていない方は、上記のようなブラックリストのデメリットを考えても、弁護士に債務整理をご依頼された方が良いケースも多くありますので、しっかりとメリットとデメリットをお考えの上、弁護士に御依頼されるか否かをご決断頂ければと思います。
なお、繰り返しになりますが、支払いが終わった会社(完済済みの会社)への過払い金請求については、ブラックリストに載ることはございませんので、どうぞご安心ください!!