自己破産の法律相談
自己破産制度とは?
▼借入がどんどん膨らんでいき、収入もなく、返すメドがまったく立たない。
そのような状況に追い込まれた時に取るべき方法は、「自己破産」です。
▼「自己破産」と聞くと、とても暗いイメージを浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、破産の制度の目的というのは、誠実な債務者に経済的な立ち直りの機会を与える点にあります。
つまり、破産ですべてが終わってしまうというのではなく、破産した後に、経済的に立ち直るための制度なのです。
良い意味で前向きに人生を生きていくために、「自己破産」という制度の選択も検討してみてください。
自己破産の制度には、独特の用語が使われます。
ただでさえ、借金の問題で疲弊しているのに、難しい言葉を次々に言われても大変だと思いますので、わかりやすく解説します。
自己破産とはどのような制度か?
破産とは、自分の財産や収入を全部出しても、全ての債務(借金)を払えなくなった場合に、原則的には、持っているすべての財産をお金に換えて、そのお金をすべての債権者(お金を貸している人や会社)に公平に分配し、債務を清算する制度です。
それでは、持っている家具や洋服も含めて身ぐるみ剥がされるかというと、そうではありません。
管財事件と同時廃止
▼破産をしようとする人の財産をお金に換える手続きは、裁判所が選んだ「破産管財人」という弁護士が行うことになっています。
これが破産の原則的な形態で、「管財事件」と呼ばれるものです。
この「管財事件」になった場合でも、全ての財産がお金に換えられて、債権者に配られるわけではありません。
申立てを行うことにより、99万円までの財産は、手元に残すことが認められています(「自由財産」と呼ばれています)。
▼一方で、破産管財人の報酬など破産手続きを進めるために必要な費用を払うことができないほど財産がない場合には、破産手続き開始決定と同時に手続きが終了します。
これは、破産の例外的な形態で、「同時廃止」と呼ばれています。
この「同時廃止」の手続きになった場合には、財産を処分してお金に換えるという手続きは行われません。
どれだけの財産があると、管財事件にのなるのかという運用については、裁判所によって異なります。
またご相談の際に詳しくご説明申し上げますので、どうぞご安心ください。
免責とは?
▼破産の手続きは、厳密にいうと、破産手続と免責手続の2つに分かれます。
「破産手続」というのは、裁判所が、財産の状況などを確認して、「借金を払えない状況にありますね」と認定する手続きです。
▼ただ裁判所から「払えない状況にありますね」と認定されても、まだ、法律的には、借金を支払わないといけません。
そこで、「免責手続」、すなわち、裁判所が、「借金を払わなくていいですよ」と認める手続きが、破産手続に引き続いて行われます。
そして、裁判所から、「免責許可決定」を受ければ、法律的にも、借金を支払わなくてよくなるわけです。
少し難しいですが、一般に「破産」という場合には、このように、「破産手続」と「免責手続」の2つの手続きを合わせていう場合が多いということはよく覚えておいてください。
▼手続き的には、破産手続開始の申立てを行えば、免責許可についても申立てがあったものとみなされますので、別々に2つの申立てをする必要はありません。
この点についても、ご相談時に詳しくご説明申し上げます。
▼ただ、免責許可決定を受けても、支払わないといけないものもあります。
税金や社会保険料の滞納金、意図的に人をケガさせた場合などの損害賠償金、離婚相手に支払う養育費などは、免責を受けても、支払わないといけません。
免責が認められない「免責不許可事由」とは?
▼法律(破産法)には、免責が許されない事情についても定めてあります。
- 債権者(貸主)を害する目的で、自分の財産を隠したような場合
- 浪費やギャンブルで財産を減らしたり、借金を増やしたような場合
- クレジットで商品を購入し、すぐにその商品を業者に転売して現金化したような場合
- 既に債務を返すことができない状態であるのに、そのことを隠してお金を借りたような場合
- 免責の申立前7年以内に免責許可の決定を受けたことがある場合
- 裁判所に提出する書類に、嘘の内容を書いた場合などです。
このような事情がある場合、原則的には、免責許可決定、つまり借金を払わなくて良いという決定は出されないことになっています。
▼ただ、こうした事情があっても、例外的に、裁判所の判断により、債務の一部を支払うことで、残りの債務については免責される場合もあります(裁量免責といいます)。
いずれにしても、自己破産については、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所までご相談ください。
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