亡くなった家族の過払い金・相続人から請求できますか?

亡くなったご家族の「過払い金」は要チェック

  • 亡くなったご家族が過去に借金をしていて、完済した後に亡くなった
  • 亡くなったご家族が残した借金を、亡くなった後に支払った

このような方は、「過払い金」がないか、チェックした方が良さそうです。

「過払い金」を貸金業者に請求する権利は、亡くなったご家族の「権利」にあたります。

そして、民法896条本文は、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と定めていますので、相続人の方は、亡くなったご家族の「過払金返還請求権」という権利を相続することになるのです。

亡くなった方の取引で、「過払い金」が発生していても相手方業者から教えてくれることはありません

亡くなった方の過払い金相続人の方から請求しないと取り戻すことはできないのです。

このため、相続人の方が、弁護士に故人の過払い金について相談・依頼するなどアクションを起こす必要があります

こちらのページでは、▼「過払い金」はどのような場合に発生するのか、▼相続人から請求する場合にどのような書類が必要になるのか、▼相続人から請求する場合の注意点などを解説しています。

亡くなった方の取引は「過払い金」の対象ですか?

「過払い金」は、違法金利、利息制限法の制限金利を超えた金利での取引によって発生するものです。

まずは、亡くなった方の取引が、「過払い金」の対象なのかどうかを確認する必要があります。

過払い金が発生しない取引

  • 住宅やクルマのローン
  • ショッピングのリボ払い・分割払い
  • 銀行のカードローン(三菱UFJ銀行カードローンや三井住友銀行カードローンなど)
  • 信用金庫のカードローン
  • モビット・オリックス・アットローンなど
  • 2008年(平成20年)以降に始まった消費者金融やカードキャッシング

以上のような取引は、もともと適法な金利での取引のため、過払い金の対象外です。

亡くなった方に、以上のような取引があったとしても、過払い金は発生しない形となります。

→ 過払い金が発生しない場合

過払い金が発生する可能性がある取引

  • 2007年(平成19年)以前からの消費者金融(アコム・プロミス・アイフルなど)
  • 2007年(平成19年)以前からのカードキャッシング

以上の取引については、もともとの金利が、年28%などの違法金利で契約していて、払い過ぎの金利=過払い金が発生している可能性があります。

テレビやラジオのCM、ネット広告などを見ていると、最近借り始めた取引でも過払い金が発生すると「勘違い」している方も多くいらっしゃるかもしれません。

でも、実際には、最高裁の判決を受けて、ほとんどの業者が利率を下げていますので、2007年(平成19年)以前に契約を結んで始めた取引でない限り、過払金は発生しない形となります。

→ 過払い金が発生している可能性のある取引とは?

故人の取引期間を確かめる方法とは?

以上のように、消費者金融やカードキャッシングの取引があったとしても、取引期間によっては、過払い金が発生しない場合もあります。

それでは、故人の取引期間を確認する方法はあるのでしょうか?

書類や明細書などが残っている場合

まず、亡くなったご家族の方が、書類などを残している場合、契約書の年月日などから、取引が始まった時期が分かる可能性があります。

亡くなった方の机の引き出しなどから書類が出てきた場合などは下記リンク先をご覧ください。

→ 取引期間を確認する方法とは?

手掛かりとなる書類や記憶が全くない場合

一方で、借りていた会社だけはわかるけど、いつから始まった取引なのか、書類も記憶も全くないため、故人の取引期間が完全に不明な場合もあるかと思います。

そうした場合は、相続人の方から、故人が借りていた会社に対して、「取引履歴」の開示を求めることにより、取引の期間や内容を確認することができます。

「取引履歴」は、貸金業者に請求があった場合の開示が義務付けられているものです。契約者本人からではなく、相続人から開示を請求する場合には、必要な書類が会社によって異なると思われますので、開示請求の際に貸金業者側にご確認ください。

→ 取引履歴を開示してもらう方法とは?

過払い金の時効・期限とは?

相続人の方に過払い金の対象となる取引があったとしても、過払い金の時効・期限が来てしまっていると、法律的に取り戻すことはできません。

過払い金は、原則として、取引が終了してから10年が経過すると、時効となってしまいます

また、例外的に、取引の途中で返済も借入れも無い空白期間がある場合(「取引の分断」)や取引の途中から新たな借入ができなくなった場合(「貸付停止」)は、最終取引から10年が経過していなくても、過払い金の一部または全部が時効となってしまう可能性があります。

→ 過払い金の時効・期限

 

相続人の方の過払い金請求の際に必要な書類・条件とは?

それでは、相続人の方から過払い金を請求する場合、どのような書類や条件が必要なのでしょうか?

名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所にご相談・ご依頼頂く場合でご紹介します。

故人の過払い金・「相談」の際に必要な書類

  • 亡くなられた契約者の方の「除籍謄本」
  • 相談者と亡くなられた契約者の方とのつながりのわかる「戸籍謄本」

相続による過払い金請求の相談の際には、以上の書類が必要となります。

調査の結果、過払い金が発生していて、実際に請求する場合には、このほかにも、

  • 故人の誕生から死亡までの戸籍全て

が必要になりますが、こちらは弁護士にご依頼いただく場合には、弁護士の事務所で取寄せを行います。

従いまして、故人の過払い金請求をお考えの方は、

  • 亡くなられた契約者の方の「除籍謄本」
  • 相談者と亡くなられた契約者の方とのつながりのわかる「戸籍謄本」等

をご準備ください。

故人の過払い金・「依頼」の際に必要な条件

故人の過払い金を請求する場合、故人の過払い金を請求することについて、法定相続人全員の同意が必要となります。

たとえば、法定相続人が、妻とこども2人の合計3人の場合は、3人とも過払い金請求に同意していることが条件となります。

なお、調査の結果、過払い金が発生していることが判明した場合には、その過払い金の返還を求める権利=過払金返還請求権について、相続人の方お一人に請求する権利をまとめて、過払い金を請求する形となります。

このため、相続人全員の間で書類の記入などが必要となります(詳しくはご相談時に詳しくご説明します)。

このため、「他の相続人には知らせずに過払い金を取り戻す」とか「自分の相続分だけ過払い金を取り戻す」などというご依頼は、当事務所では取り扱い範囲外となってしまいますので、ご了承ください。

このように、故人の過払い金を請求する場合には、法定相続人全員の同意が必要です。

お盆やお正月など、相続人の方みなさんが集まる機会に、ぜひ一度お話してみて下さい。

→ 相続人からの過払い金請求

相続人からの過払い金請求に強い弁護士に相談からスタート

以上のとおり、相続人からの過払い金請求は、通常の過払い金請求とは異なる手続きが必要となります。

このため、過払い金に詳しくない弁護士に依頼してしまうと、手続きがスムーズに進まない危険性もあり、相談先・依頼先をきちんと選ぶことが大切です。

名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所では、相続人からの過払い金請求の案件を、これまで多数取り扱っています。

相続人からの過払い金請求の経験が豊富だからこそ、依頼後も安心してお任せいただけます。

故人の方の過払い金請求をお考えの方は、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所にご相談ください。

→ 片山総合法律事務所の過払い金専門サイト