司法書士法人の過払い金無料調査のデメリット
「あなたの過払い金を無料で調査します!」
「現金がいくら戻るのか、過払い金の調査は無料です!」
テレビやラジオでこんなCMを見たり、聞いたりしたことはないですか?
ここ数年、全国チェーンの司法書士法人が、こうした過払い金の「調査」を呼びかけるCMを大量に流しています。
電話一本や郵送だけとか、やたらと便利さを強調するこうした過払い金の無料調査。
一見、とても便利なサービスのようにも思えますが、デメリットもたくさんあります。
テレビやラジオのCMでは教えてもらえない司法書士法人の過払い金無料調査のデメリットについてご紹介します。
デメリット:過払い金が140万円を超えると司法書士は何もできません!
テレビやラジオのCMでは、司法書士はあたかも弁護士と同じように、過払い金請求を手掛けることができるように宣伝されています。
ところが、実際は、司法書士には、取り扱える案件に、法律上の制限があります。
法務大臣認定司法書士は、過払い金の金額が140万円を超えると、相手方業者に対して、過払い金の返還を請求することもできませんし、過払い金の返還交渉もできませんし、過払い金の裁判を起こすこともできません。
つまり、過払い金の無料調査を司法書士法人に依頼して、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明しました場合、依頼先の司法書士法人は、実際の過払い金返還手続きを何も進めることができないのです。
過払い金の調査結果によって、そのまま依頼できるかどうかが決まるなんて、困りますよね?
⇒司法書士に依頼して過払い金が140万円を超えるとどうなる?
デメリット:過払い金の金額が多いと弁護士に依頼しなおす二度手間に!
それでは、司法書士法人に過払い金の無料調査を依頼して、過払い金が140万円を超えていることが判明した場合、どうなるのでしょうか?
司法書士法人にそのまま過払い金請求を依頼することはできません。法律上、法務大臣認定司法書士は、過払い金の金額が140万円を超えると、過払い金の請求も、過払い金の交渉も、過払い金の裁判も、何もすることができないからです。
過払い金の無料調査を手掛ける司法書士法人は、調査の結果、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明すると、「弁護士を紹介します」などと言ってきます。
ところが、こうした全国チェーンの司法書士法人が紹介する弁護士は、東京や大阪の弁護士がほとんど。東海地方で提携しているような弁護士がいると聞いたことはありません。
実は、この「弁護士の紹介」ですが、弁護士法上少し問題が発生するケースもあります。もともと弁護士法では、弁護士を紹介した際に、紹介してもらった弁護士が紹介者に対して対価を支払うことが禁じられています。ところが、紹介された弁護士が、紹介してくれた司法書士法人に対して、別の名目で金銭を支払い、弁護士会で問題になったことがあったのです。色々面倒なことに巻き込まれるのは嫌ですよね。
そして、紹介された弁護士、わざわざ東海地方まで来てくれるでしょうか?ほとんどは、電話一本だけとか、郵送だけとかで依頼を済ませるそうです。
過払い金の返還請求手続きは、とても大事な手続きです。その手続きを、会ったこともない弁護士に、電話一本とか郵送だけとかで任せて、心配はないですか?
実際に、こうやって司法書士から紹介された東京の弁護士に任せた結果、弁護士とほとんど話すことができずに、手続きがどうなっているかわからなくなってしまった方もいらっしゃるようです。
また、紹介された弁護士が、「忙しいから着手できるのは半年先になります」などと言ってくるケースもあるようです。「お手軽だから」と電話一本で過払い金の無料調査から始めた結果、とてつもなく時間がかかってしまうケースがあるのです。
このため、過払い金の無料調査の結果、過払い金が140万円を超えていることが判明した場合は、改めてご自身で弁護士を探した方が安心です。
司法書士法人の中には、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明すると、きちんとした調査結果も伝えずに、ただ「弁護士を紹介します」などと言ってくるところもあるようですので、さっさと縁を切った方が良さそうです。
デメリット:逃げ出す司法書士に注意!
テレビやラジオ、ネットなどで全国から集客を図っている司法書士の中には、過払い金の裁判を起こそうとせずに、話し合いだけでまとめようとする司法書士もいるようです。
裁判を起こすと、いろいろと争わないといけませんので、「効率化」「省力化」を進め、過払い金の裁判を避けているところもあるということです。
このためでしょうか?
取引履歴を開示された後、争点があると、「弁護士さんに相談してください」などと言われて、依頼を断るような司法書士もいるようです(大量の広告で集客しているような事務所に注意が必要です)。
これまでも当事務所に、「争点があるから受けられないと言われた」という方から、たくさんのご相談が寄せられています。
正直言って、こんな腰の引けた態度では、過払い金をしっかり取り戻すことはできません。
逃げ出すような司法書士に当たってしまう可能性もありますので、最初から過払い金に強い弁護士にご相談されることを強くお勧めします。
⇒ 過払い金の争点
デメリット:司法書士は控訴審に対応できません!
「過払い金の金額が140万円を超えなければ、司法書士でも大丈夫なんでしょう?」。
そう思った方、甘いです!
司法書士は、過払い金の金額が140万円に満たない場合でも、弁護士と違いがあります。
司法書士が代理権を認められているのは、「簡易裁判所」のみ。
「簡易裁判所」での第一審が判決まで行き、相手方業者が控訴をしてくると、裁判は、「地方裁判所」に移ります。
ところが、司法書士は、「簡易裁判所」で代理権が認めらているだけなので、「地方裁判所」では、代理権が認められません。
司法書士に依頼して、裁判が控訴審まで進むと、司法書士は裁判に対応できなくなってしまうのです。
「控訴審まで進まければ問題ない」と考えている方も、甘いです!
司法書士が控訴審に対応できないことは、相手方業者も良く知っています。このため、相手方業者が和解に応じず、裁判を長引かせてくる可能性も十分あります。「控訴審まで進んだら困るでしょう?」などと言って、司法書士に和解を強いてくる可能性があるのです。「控訴審に対応できない」という弱点は、必ず裁判後の交渉に影響を及ぼします。
依頼先を間違えてしまうと、いくら金額が小さくても、こんなデメリットがついてくるのです。
弁護士に最初から依頼する方がお勧めです
このように、一度司法書士法人の無料調査をしても、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明した場合、結局、弁護士に依頼し直さないといけません。
弁護士に依頼し直した場合、取引の記録が記された「取引履歴」を、再度貸金業者から取り寄せます。
つまり、楽をして司法書士法人に過払い金の無料調査を依頼してしまうと、過払い金の金額が140万円を超えていることが判明した場合、二度手間になって、時間もかかってしまうのです。
特に、取引期間が長かった方や借入金額が多かった方は、過払い金の金額が140万円を超えていることがほとんどで、司法書士法人の無料調査は全く使えないので、お勧めできません。
特に、全国チェーンの司法書士法人の多くは、「ビジネス」として、過払い金の無料調査を手掛けていて、実際の過払い金返還請求手続きにどれだけ精通しているか、どれだけ労をかけて真剣に取り組むかについては、疑問符がつく所も多いようです。
本来、過払い金をきちんと取り戻そうと思うと、貸金業者を相手取って、裁判を起こしていく必要がありますが、こうした無料調査を手掛ける事務所の中には、ホームページ上で、「裁判を起こすと時間がかかります」などと強調していて、過払い金に真剣に取り組む当事務所からすると、あまり納得できない姿勢であるところも多いようです。
過払い金は依頼する事務所によって、取り戻せる金額も、取り戻せるまでの期間も大きく異なる分野です。どこに頼んでも同じではありません。
お手軽な過払い金無料調査からスタートするのではなく、過払い金請求に真剣に取り組む弁護士にご相談されるところからスタートするようにしてください。