消費者金融やカードキャッシングの過払い金。
「過払い金請求は完済してからでないとできない」とか「残っている債務の支払いを完了しないと過払い金請求できない」と勘違いしている方も多いのではないでしょうか?
実は、この「過払い金」。
取引の期間によっては、まだ借金・債務を支払っている途中でも、過払い金が発生している可能性があるのです。
以下、詳しく解説していきます。
返済中の方にも過払い金が発生する仕組み
過払い金は、利息制限法という法律で定められた金利を上回る違法金利で借りていた場合に発生するものです。
たとえば、借入れが50万円の方の場合。
利息制限法では年18%が上限の利率となります。
ところが、2007年(平成19年)以前に始まった取引の場合、消費者金融やカード会社の一部は、もともと年28%などの非常に高い金利で貸していました。
その後法律の改正などにより、消費者金融やカード会社の利率は下がりました。
しかし、違法金利での取引が長かった方の場合、取引の最初から適法金利で計算をし直すと、現在残っている債務が全て消えた上で、過払い金が発生している可能性があるのです。
⇒ 過払い金とは?
過払い金が発生しているかもしれない対象者とは?
消費者金融の場合、2007年(平成19年)中に、新たに結ぶ契約の利率を適法な利率に下げています。
また、カード会社の場合は、もともと取引が始まっている方も含めて、2007年(平成19年)中に、取引の利率を下げています。
このため、返済中の方で、過払い金が発生する可能性がある方は、以下の通りとなります。
- 2007年(平成19年)以前から消費者金融と契約を結び、現在も返済中の方
- 2007年(平成19年)以前からカードキャッシングを始め、現在も返済中の方
返済中でも過払い金が発生しない場合
一方で、もともと適法な金利で借りている場合は、取引の最初から適法な金利で計算しても、残っている債務が減ることもありませんし、過払い金発生することもございません。
過払い金が発生しない取引は、主に、以下のとおりとなります。
- 2008年(平成20年)以降に始まった消費者金融やカードキャッシング取引。
- 銀行や信用金庫などのカードローン
- 住宅、自動車、バイク、絵画などのローン
- クレジットカードのショッピングのリボ払い取引
- モビット、アットローン、キャッシュワン、オリックスなど
返済中の過払い金請求のリスク
返済中の方の場合、過払い金請求をするうえで、注意をする点が一つあります。
それは、信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)のことです。
完済済みの会社に対する過払い金請求の場合、信用情報機関に影響がでることはありませんので、いわゆる「ブラックリスト」に載ることはありません。
一方で、返済中の会社の場合は、この信用情報(「ブラックリスト」)に影響が出る可能性があります。
- 適法な金利で計算の結果、残っている債務が全て消えて、過払い金が発生している場合は、信用情報(ブラックリスト)に影響が出る可能性は、ほぼありません。
- 一方で、適法な金利で計算して、金額が圧縮されたとしても、債務が残ってしまう場合、例えば、ご相談時の債務50万円が計算の結果、10万円まで圧縮されたけど、債務が残ってしまう場合。この場合は、信用情報機関において、弁護士が介入して、債務の整理をしましたという「事故情報」が登録されてしまう可能性が非常に高いです。残っている債務を支払う期間プラス返済が終わってから5年間は、「事故情報」が残ってしまう可能性があるため、新たな借入やカードの作成などが難しくなる可能性があるのです。
このように、返済中の方の場合は、▼残っている債務が全て消えて、過払い金が発生する場合と、▼残っている債務が減るけど残る場合で、信用情報への影響が異なります。
事前に過払い金が発生しているかどうかを確認したい方へ
このように、債務が残っている方の場合、適法な金利で計算した結果、債務が全て消えて過払い金が発生するのか、債務が減るけど残ってしまうのかによって、信用情報への影響が異なります。
「信用情報に影響が出たら困る」という方の場合は、ご相談前に、「取引履歴」と取り寄せることをお勧めしています。
「取引履歴」とは、いついくら借りて、いついくら返したかという取引の記録を記載したものです。
消費者金融やカード会社には、ご本人から請求があった場合、「取引履歴」を開示する義務があります(貸金業法という法律で定められています)。
「取引履歴」を取り寄せても、残っている債務を全て支払う必要などはありません。
ご相談の際に取引履歴をお持ちいただければ、コピーをお預かりして、取引履歴を計算させていただきます。
計算の結果、過払い金が発生しているようであれば、過払い金請求に着手するという進め方で、ご依頼頂くことも可能です。
このように、ご相談前に取引履歴を取り寄せて頂くと、より具体的なアドバイスを差し上げることができます。
取引履歴の取寄せ方法は、下記リンク先をご覧ください。
不利な「和解」に注意
この「取引履歴」を取り寄せる際、みなさんに注意していただきたいことがあります。
それは、相手方の消費者金融やカード会社からの「和解提案」には安易に乗らないということです。
消費者金融やカード会社の中には、取引履歴を開示すると、弁護士に相談されてしまう前に、ご本人様と話をまとめようとする会社があります。
特に、アコムやアイフル、プロミスやレイクなどで、これまでそうした「和解」がされているケースがありました。
たとえば、「書類にサインしてもらえれば、もう残っている債務は支払わなくて大丈夫です」とか「これから利率を0%にしてあげますので、残っている債務だけ支払う内容でサインしてください」とか、そういった和解提案をしてくるのです。
「残っている債務を払わなくて良いなら、助かった!」などと、ついついサインしてくなる内容ですが、ここで注意が必要です。
2007年(平成19年)以前から取引が始まった方の場合、いくら契約上の債務を返済中でも、適法な金利で計算した結果、残っている債務が全て消えた上で、過払い金が発生している可能性があります。
ところが、「債務を0円にする」という内容で、消費者金融やカード会社と「和解」をしてしまうと、別途過払い金を請求することができなくなってしまう可能性が高くなってしまうのです。
消費者金融やカード会社は、過払い金なんて1円も払いたくないのが本音です。このため、弁護士が過払い金を請求する前に、本人と直接話をまとめてしまい、過払い金の請求を封じようとするのです。
本来、過払い金については話がされていないため、元金を0円にする和解だったり、利率を0%にする和解をしても、過払い金は請求できるように思われますが、裁判官の中には、このように返済中に話し合いをした方については、過払い金請求が認められないと判断する裁判官も数多くいます。
「過払い金返還請求」というのは、立派な法律問題です。
相手方貸金業者からの安易な提案に乗ってしまうのではなく、法律の専門家である弁護士にご相談されることを強くお勧めします。
返済中の方の過払い金請求まとめ
以上みてきたとおり、2007年(平成19年)以前から消費者金融やカードキャッシングを利用し、現在も返済中の方の場合、適法な金利で計算すると、現在残っている債務が全て消えて、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金は、借り手の側から請求しないと、消費者金融やカード会社は、自主的に返してくれることはありません。
コロナ禍の影響で収入が減少し、毎月の返済に苦しんでいる方も多くいらっしゃるかと思います。
特に1990年代(平成一桁)の頃から取引が継続していて、現在も返済を続けている方は、大きな過払い金が発生している可能性が高くなります。
過払い金は、もともと適法な金利で借りていた場合には、発生するものではありません。
逆に言うと、貸金業者が、法律の上限を超える利率で敢えて貸していたからこそ、発生するものです。
悪いのは、高い金利で借りた方ではなく、高い金利で貸した方です。
だから、いくら困ったときに助けてもらったと思っていたとしても、過払い金の請求をためらう必要はありません。
過払い金には期限があり、返済中の方にも関係してきます。
取引の途中から新たな借入が出来なくなった方の場合、消費者金融やカード会社は、「貸付停止」という争点を持ち出して来て、過払い金の一部が時効であるという主張をしてくるのです。
このため、最初から、過払い金請求の経験豊富な、過払い金請求に強い弁護士に依頼することが必要です。
お早めに、名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所までご相談ください。